【EVENT REPORT】川崎市官民共創フォーラム2026~この挑戦が、次の挑戦を生む~

川崎市は、官民連携の取組の推進に向け、2026年8月25日、官民共創フォーラムを開催しました。
本フォーラムでは、市長や官民連携の専門家の登壇をはじめ、担当職員による本窓口の紹介や川崎市が重点的に取り組む領域「重点共創フィールド」に関するトークセッションを通じて、川崎市における官民連携の現状や課題、目指す姿を共有しました。
本記事では、その概要をお伝えします。
開会挨拶

開会にあたり、福田紀彦市長が挨拶をしました。市長は、川崎市が人口や産業の成長を続ける一方で、将来を見据えた新たな社会課題への対応が求められていることに触れ、その解決には行政だけでなく、多様な主体との共創が不可欠であると述べました。
また、これまで民間事業者等との連携をさまざまな形で進めてきた一方で、今後は官民連携総合窓口「Kawasaki Future Co-Lab」を中心に、提案や相談を一元的に受け止め、民間事業者等と対等なパートナーシップのもとで新たな価値創出に取り組んでいく考えを示しました。
川崎市は活力ある都市として成長を続けている一方、人手不足などの課題も見据えていると説明しました。現在の成長を将来につなげるため、多様な主体との連携により、川崎を「挑戦が集う共創の場」としていくことが重要であるとの認識を示しました。
さらに、川崎市が有する企業や研究機関、大学、若い人材などの集積を生かしながら、社会課題の解決と新たな価値の創出につながる挑戦を後押しし、「この挑戦が、次の挑戦を生む」好循環を創出していきたいと呼びかけました。そして、官民共創の取組を通じて、川崎から新たなモデルや価値を生み出し、国内外へ発信していきたいとの期待を語りました。
基調講演

基調講演では、福岡地域戦略推進協議会(以下、FDC)の柏木浩志氏が登壇し、福岡地域の官民連携をけん引する組織として、これまでの取組や官民連携におけるポイントについてお話いただきました。
FDCは2011年に設立され、現在は246の企業・団体が参画する産官学民連携のプラットフォームです。柏木氏は、FDCの特徴として、調査や提言にとどまらず実行まで担う「Think & Doタンク」であることを紹介し、公共性と事業性の両立を重視しながら、福岡都市圏全体の成長を目指している点を強調しました。
講演では、天神ビッグバンをはじめとする都市再生、観光・MICE、スタートアップ支援、デジタル技術を活用した実証実験、国家戦略特区を活用した規制緩和など、多様な官民共創の取組が紹介されました。成功事例だけでなく、思うように進まなかった事例にも触れつつ、トライアンドエラーを重ね、情勢の変化に応じて柔軟に軌道修正していくことの重要性を共有しました。
また、産官学民連携を進める上では、行政と民間では担う役割やスピード感、判断基準が異なるため、その間をつなぐ「インタープリター」、すなわち翻訳者の存在が不可欠であると指摘しました。さらに、いきなり大きな課題解決を目指すのではなく、まずは成果が見えやすい小さな取組から始め、成功体験を次の挑戦につなげていくことの重要性が語られました。
最後に柏木氏は、川崎市には企業や研究機関の集積、羽田空港への近接性など、イノベーション都市としての大きな可能性があると評価し、福岡市とは異なる地域特性を生かした共創への期待を示しました。
トークセッション

| 総務企画局 共創推進室 共創推進担当課長 | 野村 有紀子 |
| 教育委員会事務局 学校教育部 プロジェクト推進担当 担当課長 | 橋本 朋行 |
| 健康福祉局 保険医療政策課 課長 | 土元 寛人 |
| まちづくり局 住宅政策部 部長 | 白石 敬博 |
| まちづくり局 交通政策室 担当課長 | 藤堂 泰助 |
| 合同会社デロイト トーマツ Social & Design シニアマネジャー | 小田 剛 |
トークセッションでは、川崎市の官民連携総合窓口の機能と、4つの重点共創フィールドについて、各所管部署の職員とモデレーターによるクロストーク形式で紹介しました。
共創推進室の野村課長からは、民間事業者等からの提案を一元的に受け止め、庁内のニーズとつなぐ「Kawasaki Future Co-Lab」の窓口機能について説明しました。開設から約3か月で約100件の提案や相談が寄せられている現状とともに、完成度の高い提案だけでなく、構想段階から広く相談を受け付けることで、市の課題に合わせて官民が共に事業を形にしていく方針が共有されました。
続いて、重点共創フィールドごとに各担当職員から取組の方向性や目指す姿が語られました。(参考:重点的に取り組む領域)
重点共創フィールド①「次代の産業を担う人材づくり」 橋本担当課長
「企業や大学と連携しながら、新しい学びの場として高等専門学校を創ることを構想している。子どもたちが先端技術や社会実装の現場にもっと早い段階から触れられる環境を整え、教室の中だけで完結する学びではなく、実社会につながる学びへと広げることで、将来のイノベーション創出を担う人材育成につなげていきたい。」
重点共創フィールド②「データを活用した健康づくり」土元課長
「データやテクノロジーを活用し、官民連携のもとで自然と健康行動を取りたくなるような仕組みづくりに取り組んでいる。ただし、健康の取組は真正面から促すのではなく、楽しさや社会貢献と結び付けることで継続しやすい取組を実現し、頑張って健康になるのではなく、楽しみながら参加した結果として自然と健康になっている状態を目指したい。」
重点共創フィールド③「人と住まいの循環による暮らし続けられるしくみづくり」白石部長
近年、川崎市では20代の若年層は転入超過である一方、30代から40代の子育て世代は転出超過の傾向にある。住宅ストックの有効活用などにより、多様な住まいの選択肢を増やし、「人と住まいの循環」を実現することで、子育て世代の市内定住・転入促進を目指している。こうした取組は、単なる住宅供給にとどまらず、新たな住まい方や暮らし方を創出する挑戦でもあり、その実現に向けて、多様な分野の民間事業者の皆様との共創を進めていきたいと考えている。
重点共創フィールド④「未来の市民の足を守る交通環境の形成」藤堂担当課長
「これからの時代に適した地域の移動を支える仕組みづくりに取り組んでいる。特に、路線バスを基軸にしながら、デマンド交通やシェアモビリティを組み合わせることで生まれる“移動手段をつなぐ拠点”としてのモビリティステーションの可能性を、様々な民間事業者の皆様との共創を通じて広げていきたいと考えている。」
セッションでは、各フィールドが抱える課題や目指す将来像が共有されるとともに、その実現には行政だけではなく、民間事業者等が持つ技術やノウハウ、ネットワークが不可欠であることが繰り返し語られました。官民の共創は一度きりの取組ではなく、対話を重ねながら具体的な実践と持続的な活動につなげていくことが重要であり、「この挑戦が、次の挑戦を生む」という本フォーラムのテーマのもと、継続的な連携を通じて、新たな価値を創出していくことへの期待が示されました。
閉会挨拶

総務企画局 共創推進室 室長 小池 智也
最後に、共創推進室の小池室長が閉会挨拶を行いました。参加者への謝意を述べるとともに、本フォーラムを通じて、官民共創に対する高い関心と期待が寄せられていることを実感したと振り返りました。
また、社会課題が高度化・複雑化する中、その解決には行政だけでなく、民間事業者等が持つ知恵や技術、ネットワークとの連携が不可欠であると述べました。その上で、従来の受発注の関係を超え、対等なパートナーとして対話を重ねながら、新たな価値をともに創り上げていくことの重要性を呼びかけました。
さらに、川崎市で生まれる一つひとつの取組を新たな挑戦につなげ、社会課題の解決と価値創出を両立するモデルとして発展させていきたいとの考えを示しました。そして、参加者に対し、Kawasaki Future Co-Labを活用しながら、川崎市との対話や提案を通じて新たな挑戦につなげてほしいと呼びかけ、フォーラムを締めくくりました。
ネットワーキング
フォーラム終了後にはネットワーキングを開催し、参加者同士による活発な交流が行われました。トークセッションに登壇した各所管部署の職員のもとには多くの参加者が集まり、重点共創フィールドで紹介した取組や課題について、より具体的な意見交換が行われました。
また、参加企業からは、自社の技術やサービスがどのように地域課題の解決に貢献できるかといった提案やアイデアも寄せられ、今後の連携や共創の可能性について対話が交わされました。参加企業同士の交流も活発に行われ、新たなネットワークの構築や事業連携のきっかけとなる場となりました。
会場各所では最後まで対話が絶えず、本フォーラムをきっかけに生まれたつながりやアイデアが、今後の具体的な連携や新たな挑戦へと発展していくことへの期待が高まるネットワーキングとなりました。
川崎市では、今後も官民連携総合窓口「Kawasaki Future Co-Lab」を通じて、多様な主体との対話と共創を推進していきます。官民がそれぞれの強みを持ち寄り、一つひとつの挑戦を次の挑戦へとつなげながら、新たな価値創出と社会課題の解決に取り組んでいきます。

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