レポート

2024年10月22日

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開催日:2024/04/01〜 2025/03/31 【JAセレサ川崎】川崎市市制100周年を祝う「田んぼアート」。親子で賑わい「都市農業」の魅力発信!【プラチナ・ゴールド協賛企業のご紹介】

ドローンによる撮影(1)
ドローンによる撮影(2)

 2024年の秋、麻生区岡上にある約1反の田んぼで、川崎市市制100周年を祝う「田んぼアート」がお披露目されました。色合いの異なる2種類の稲穂が順調に実り、浮かび上がった文字は『祝川崎市100th byJA』。JAセレサ川崎が企画し、市民と川崎市に贈られたこのメッセージに、現地で鑑賞した人からは称賛と感嘆の声が聞かれました。ドローンによる空撮でも、成功した画像が見事に写真に収められました。

ドローンによる撮影(3)

きっかけは、2011年の東日本大震災

 岡上で初めて田んぼアートが行われたのは2011年3月。東日本大震災が発生し、日本中に深い悲しみと絆の輪が広がる中、ちょうど田植えの時期を迎えた田んぼの所有者・山田邦夫さん(現71歳)が、被災地の方々を元気づけようとJAセレサ川崎に田んぼアートを提案。JA側もその思いに共感し、「ガンバレ 日本」という文字を表現するため、県奨励米の「はるみ」と黒い稲穂が特徴の古代米「緑米」を使って制作しました。

 また、JAセレサ川崎が20周年を迎えた2017年にも、節目を祝って実施。市制100周年となった今回も、山田さんからJAセレサ川崎の組合長・梶稔さんに話を持ち掛け、実現にこぎつけました。山田さんは「田んぼ近くの高台に設けた鑑賞用スポットに、連日多くの方が訪れてくれました。喜んでもらって良かった」と笑顔を見せました。

 今回、田んぼアートの制作に中心となって携わったのは、JAセレサ川崎・都市農業振興課課長の西野智洋さん(42歳)。設計図を作り、それを基に実際の田んぼで測量し、ビニールひもで区分け調整しながら品種の異なる稲を他のJA職員とも協力し丸2日間かけて手作業で植えるなど、手間ひまをかけて育ててきました。

稲刈り体験の説明を行うJAの西野さん

稲刈り体験に、親子連れら130人

稲刈り体験の様子(1)
稲刈り体験の様子(2)

そして迎えた10月12日の収穫の日、事前に体験申込をした約130人の親子連れらが田んぼに集結。JA職員から、稲の刈り方や束ね方、天日で稲を乾燥させる「はさ掛け」の手順などの説明を受けた後、実際に稲刈り体験へ。初めは不安そうな表情で恐る恐る鎌を持っていた子どもたちも、徐々に慣れた手つきで稲を刈り、職員から「合格」をもらうと笑顔が弾けていました。

 親子で参加した柿生在住の多田隼人さん(39)さんは「(息子が)自然や昆虫に興味があるので、稲刈りも体験させてあげようと思って。貴重な経験ができた」と話し、父からアドバイスを受けながら作業した悠人さん(7)は「だんだんコツがつかめてきて楽しい!」と顔をほころばせました。

 母娘3世代で参加したのは、地元在住の今岡さん一家。娘の作業を見守っていた今岡さんは「昔は登下校の時、田んぼの移り変わりをみて季節を感じたり、農家の人が作業している姿に感謝していたけど、今はそうした光景があまり見られなくなった。子どもにも、炊いたお米をただ食べるだけではなく、農作業にも触れてほしくて」と説明。体験を通じ、祖母と孫娘のコミュニケーションも育まれたようです。

稲刈り体験の様子(3)
稲刈り体験の様子(4)

 所有者の山田さんは「多くの子どもが田植えをしている姿を見るのは感無量。大人になっても原風景として記憶にとどめてもらえたら」と思いを馳せ、JAの西野さんも「田んぼアートと農業体験を通じ、JAセレサ川崎を知ってもらい、都市農業について考えるきっかけになれば」と期待を込めます。

田んぼ所有者の山田さん

都市農業の魅力を、次の100年に――

 都市農業における課題の一つは「農地の維持」。川崎市内の農地も減少の一途をたどっており、その主な要因は後継者不足です。「代々農業を営んできた農家でも、『後継ぎが一般企業に勤めてしまって…』というお悩みや相談は多い」と西野さん。しかし一方で、農地と消費者が近いのが都市農業の魅力で、人口増の川崎市はその環境は顕著だといいます。農業と市民生活が身近に接しているからこそ、市民を農業に巻き込み、新たな展開や可能性も秘めている。まさに、田んぼアートもその一つなのです。

 JAセレサ川崎では、「市民と共存しながら、子どもたちにも農業を知ってもらえたら」と、食農教育にも力を入れています。小学校や地域住民を対象に職員が出向いて、ジャガイモやサツマイモなど野菜の栽培体験や稲作体験などを実施。令和6年度は36事業・計116回の実施を見込み、12,000人以上が参加予定といいます。未来の消費者となる子どもたちに農業の魅力を伝え、身近に感じてもらおうと取り組みを進めるJAセレサ川崎。「持続可能な都市農業を残そう」を理念の一つに掲げ、「次の100年も、農業をいかした川崎であってほしい」と願っています。

ちなみに今回の田んぼアートで収穫されたお米は約480㎏。川崎市市制100周年に関連する食のイベントなどでふるまわれるそうです。

  • 実施団体セレサ川崎農業協同組合(JAセレサ川崎)
  • 日程2024/04/01 〜 2025/03/31
  • エリア麻生区
  • 会場岡上地区の田んぼ
  • URLhttps://www.jaceresa.or.jp/

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