2024年、川崎市は市制100周年を迎えました。
2024年12月、川崎市立大師中学校の美術部の皆さんが市制100周年のグッズを製作したという素敵なご連絡をいただきました。
この素敵なグッズを製作してくれた大師中学校美術部の皆さんにお話を伺いました。

―今回100周年を盛り上げるグッズとしてTシャツ、タオル、トートバッグを製作されましたが、どういった経緯で作ることになったのでしょうか。

インタビューを実施しました。
岡本先生
「美術部は比較的人数が多い文化部かつ、個人製作の場面が多く、学年の垣根を超えた共同作業ができていませんでした。もっと先輩・後輩で協力できる部活動にしたいと思い、市制100周年のグッズより前からチームによる共同制作の取組を始めました。学年を横断したチームで、デザインをコンセプトからプレゼンし、優秀作品を実際にグッズとして製作する取り組みです。」
岡本先生
「今年のテーマを色々検討したところ、最終的に川崎市の100周年が一番良いなとなり、各チームで制作を始めてもらいました。」
―制作はどのような流れで行ったのでしょうか。
土井さん
「まずは、川崎市の市制100周年がどんなものかを調べました!その中で15のActionラベルというものを見つけ、それぞれのチームがどのActionをテーマにデザインするか決定し、色々なコンセプトを考えました。その後は令和4年度の美術部グッズの製作を参考に、皆でデザインのプレゼンを行い、実際にグッズにする選抜をしました。」
川上さん
「色々調べたね。工場夜景や、多摩川の自然、音楽のまち・かわさき、ネクストジェネレーションなどが印象に残っています!」
岡本先生
「全校生徒を対象に給食の時間に発表したね。」
土井さん
「レッド、ブルー、ホワイト、グリーン、イエローの5チームがスライドを作って、音声も自分たちで録音してお昼に流しました。」
川上さん
「発表後は友達からあのデザインが良かった、このデザインが良かったとコメントをもらって喜んだり、驚いたり(笑)」
岡本先生
「デザインが得意な部員もいれば、スライド発表が得意な部員もいるなど、普段の活動で見えなかった強みが見えることもあり、沢山の発見がありました。外から見ていても、通しでの製作過程は非常に苦労していたように思います。」
―様々な過程を経ての製作だったのですね。是非、実際にグッズになったデザインのコンセプトを教えてください。

川上さん
川上さん(トートバッグ)
「これはブルーチームのデザインで、一番上は多摩川の花火大会です。コロナの影響で花火大会に行けなかったことを思い出し、またみんなで行きたいなと思ってデザインにしました。中段は外灯で、川崎がどこでも明るく安全な場所になってほしという思いを込めています。下段は工場夜景で一番の川崎の見どころだと思い入れました。」
―それぞれ共通して、スケートボードを持った女性が描かれていますね。
川上さん(トートバッグ)
「調べる中で、川崎がBMXやスケートボードが盛んだと知りました。同じ世代の皆が持ちたくなるスタイリッシュなデザインをイメージし、今風の格好いい女性のイメージを合わせました。」


土井さん(タオル)
「タオルはグリーンチームのデザインです。ローラースケートをモチーフにして、親しみの持ちやすさと全校生徒が手に取ってくれるシンプルさと若々しさを表現しています。」
岡本先生
「グリーンチームは全体2位だったのですが、票数も多かったことから折角なので作ろうということで、グッズにしました。」
安中さん(Tシャツ)
「ブルーチームのデザインで、統一感を出すためスケートボードを入れました。また、川崎市のナイトタイムエコノミーというActionテーマをイメージし、夜の街頭や明かりを描いています。若者の活力さや全体をパキっとさせるため、周りに模様を散りばめています。」
―それぞれ本当に様々な思いの込められたデザインですね。製作して良かったこと、大変だったことはどんなことですか。
土井さん
「1~3年生で関りが薄かった中で、チームとして協力して製作したことで、部活内の仲が深まっただけでなく、その後の個人製作にもいい影響がありました。」
川上さん
「製作ではプレゼンが一番大変でした。全校生徒に思いを伝え、欲しいと思ってもらうために1~2か月何度も練り直しました。プレゼンの力にもつながったと思います。秘訣は長い文章にしない、ポップでかわいいデザインを意識することです。」
安中さん
「初対面の人と話すのがあまり得意ではなく不安がありましたが、活動を通して徐々に交流できるようになり、リーダーシップ力が身についたと思います。」

素敵なデザインが他にも掲示されていました。
―もうすぐ卒業し高校生になりますが、この取組はどんな経験になりましたか。
土井さん
「将来、芸術・アートの仕事につきたいと思っています。話し合いや議論を通してデザインのシェイプアップする過程が将来に参考になると感じました。」
川上さん
「チームのリーダーとして、皆で協力して何かを作る作業の大変さと楽しさを改めて学びました。高校でも何かを作り上げる機会において、リーダーに挑戦してみたいと思います。」
安中さん
「高校でも美術部に入るつもりです。今回のチームで学んだコミュニケーション力を生かして、高校でも部長・副部長になって頑張りたいと思います。」
岡本先生
「今回、3年生が中心になって活動してくれた中で、顧問が思っている以上のものを子どもたちが生み出してくれたこと、思い描いた以上の結果を見せてくれたこと、子どもたちの力の凄さを感じました。すごく一生懸命、3年生を中心となって1,2年生を引っ張ってくれたことが印象的です。」
―この取組を通して、川崎市について思ったことを率直に教えてください
川上さん
「川崎市について調べる中で、若者のスケートボード文化など、こんな文化あったんだという発見があり、理解が深りました。正直、川崎市に治安悪いというイメージがありましたが、改善に向けて色々頑張っていることも知りました。」
土井さん
「本当に知らなかったことが沢山ありました。具体的な数値を調べるなかで、こんな特産品やこんな名所があるのだ、是非行ってみようと思いました。川崎に引っ越してきた自分として、改めてよく知る機会になりました。」
安中さん
「私は工場に近いほうに住んでいて、工場夜景や多摩川については知っていました。一方で、音楽のまちや、若者文化が盛んなのは全然知らなかったので、勉強になりました。」
岡本先生
「美術教員なので、取組を通して地域に密着するデザインやその授業を考えるきっかけになりました。市外に住んでいて、川崎のイメージで思い込んでいる部分がありましたが、子どもたちから学び、印象が変わった部分も大きくありました。また、総合キャリアの先生が興味を持ってくれたなど、他の取組にも活かせるかなと思いました。」
―最後に一言お願いします!
川崎市についてもっと知ってみると、私たちとっての沢山の学びがありました。
それを今回私たちは美術で表現ましたが、
もっと色々な人が新しい活動としてチャレンジしてほしいなと思います。
大師中学校美術部 部長 土井
