2024年、川崎市は市制100周年をむかえます。
10月10日(火)、川崎市殿町地区にあるキングスカイフロントにて「キングスカイフロント OPEN DAY」を市制100周年記念プレ事業として開催しました。
この日は「かわさき家庭と地域の日」で市立中学校はお休みのため、この機会を利用して、これからの未来を担う中学生を対象にライフサイエンス分野で最先端を行く「殿町国際戦略拠点キングスカイフロント」の施設見学が開催されました。
貴重な機会に参加した子どもたちの様子を御紹介します。
キングスカイフロントとは
まずは川崎市臨海部国際戦略本部の職員から、キングスカイフロントの全体像について説明がありました。
キングスカイフロントは、川崎臨海部の川崎区殿町に位置し、「健康・医療・福祉・環境」の分野において研究開発から新産業を創出するエリアです。
川崎臨海部は産業構造の変化を受けて、平成11年をピークに遊休地が顕在化していましたが、2011年12月”京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区”、2014年5月”国家戦略特区”にそれぞれ指定されたことで、国をあげてライフサイエンスのイノベーション拠点として発展を続けてきました。
また、2022年には羽田空港とキングスカイフロントを繋ぐ多摩川スカイブリッジも完成し、世界中から医師や研究者が来訪するなど、世界と繋がる世界最先端の研究開発エリアとなっています。
株式会社島津製作所
島津製作所のコースでは、前半に廣石綾子様より島津製作所についての説明を行いました。
島津製作所は「科学技術で社会に貢献する」を掲げ、分析計測機器の応用技術を開発する拠点として、社会課題の解決に貢献されています。
島津製作所では分析計測機器以外に医療機器や航空機部品を作っていること、ヘルスケアにも精通しており、コロナ禍においてもコロナウイルス検出試薬キットを開発していたことなどをご説明いただきました。
島津製作所のラボはガラス張りになっていて通路からも分析装置を見学できます。「魅せる」ラボとして、ラボ、ショールームを展開しており、訪問する人を魅了します。
学生たちは各ラボをツアー形式で周り、各種分析機器や研究施設、オフィスなどを見学しました。
クロマトグラフや分光分析装置など、普段は見ることのできない機器に参加者は大興奮。学生からは積極的に質問が出るなど、参加者の皆さんは大興奮でした!
島津製作所の想い
ーキングスカイフロントOPEN DAYで中学生に何を伝えたいですか?
科学の面白さに触れてもらい、将来、サイエンスの分野の仕事に携わりたいと思う学生さんが増えてくれたら嬉しいです。
ー今後の川崎市をどのように盛り上げていきたいですか?
川崎に日本を代表する研究特区があることは、川崎市民としても誇らしいことだと思っております。
地域の皆さんや学生さんたちに、親しみ・愛着を感じてもらえるような研究特区になるように、島津製作所としてもイベントに積極的に参加していきたいです。
神奈川県立保健福祉大学
神奈川県立保健福祉大学では、大学院ヘルスイノベーション研究科の久保田悠様より冒頭説明をいただきました。
神奈川県立保健福祉大学は、2003年に「保健・医療・福祉の総合的人材を養成する新たな拠点」として開学しました。
2019年には、次世代のヘルスイノベーターを育成するというミッションのもと、大学院ヘルスイノベーション研究科(通称:ヘルスイノベーションスクール)を開設し、日本の未来を担う人材育成に力を入れています。
中学生たちは、久保田助教の指導のもと、「様々な条件でガムを噛み、噛む効率を比較する実験」「様々な条件で水を飲み、飲みやすさを比較する実験」を体験しました。
中学生たちは、実験を通して普段意識していない噛むことの重要さや、唇の役割について学びました。実験の結果に対する原因を各々が考え、発表するなど、中学生たちにとって頭に汗をかく楽しい時間でした!
神奈川県立保健福祉大学の想い
ーキングスカイフロントOPEN DAYで中学生に何を伝えたいですか?
普段は何も意識しないで食べ物を食べたり、飲み物を飲んだりしています。今回の実験によってお口が体の大切な器官であることを体感し、ちょっとした工夫で効率よく食べたり飲んだりすることができることを知って欲しいです。
学生の頃に感じた好奇心が、その子の将来に繋がることは十分に考えられます。今日の体験を通じて感じた「なぜ?」を大事にして、日常のあらゆることに疑問や関心を持ってもらいたいですね。
ー今後の川崎市をどのように盛り上げていきたいですか?
日本では高齢化が進んでおり、歯や口の健康に関する問題も深刻化しています。自分たちの強みや得意を活かして「保健・医療・福祉」を盛り上げ、川崎市のさらなる発展と、日本の社会問題の解決に貢献したいです。
ジョンソン・エンド・ジョンソン インスティテュート東京
ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社では浅見昌之様より冒頭に会社概要についてご説明いただきました。
ジョンソン・エンド・ジョンソンはアメリカの優良企業500社を集めた、S&P500にも選抜されている「医薬品・医療機器・消費者向け商品」を提供している企業です。
キングスカイフロント内にある”ジョンソン・エンド・ジョンソン インスティテュート 東京”は、医療従事者が先端的医療機器を安心安全にトレーニングできる設備となっています。
眼科研究室などの各種施術研究室、バルコニーを見学し、学生達は最新の医療機器やトレーニング施設に興味津々の様子。バルコニーでは多摩川を一望することができ、学生たちは目を輝かせていました!
ジョンソン・エンド・ジョンソンの想い
ーキングスカイフロントOPEN DAYで中学生に何を伝えたいですか?
医療業界では外科医不足が続いています。その原因のひとつとしては手術が大変だからという理由があげられますが、外科医は多くの人の命を救えるやりがいのある仕事です。
施設を見学いただくことで外科医の仕事に関心を持ち、今後の医療業界を担う人材になってもらいたいです。
ー今後の川崎市をどのように盛り上げていきたいですか?
まだまだキングスカイフロントを東京の施設だと思っている方が多い印象があります。もっと画期的な研究を進めて幅広い業界に貢献し、川崎ブランドを浸透させてキングスカイフロントをアジアの中心的な存在にしたいです。
そのために、本日のような未来のある学生に見学してもらえる機会は貴重なので、たくさんの発見や興味を感じ取ってもらいたいですね。
ライフイノベーションセンター(LIC)・神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)
LICは神奈川県が整備している再生・細胞医療の産業化の拠点で、再生細胞医療等に関わる様々な企業・機関が入居しています。今回はLICに入居しているKISTECと協力し、ラボツアーを開催しました。
KISTECは「研究開発・技術支援・事業化支援・人材育成・連携交流」の5つの事業を通じて、日本の新たなイノベーション創出を支援する試験研究機関です。
豊かで質の高い県民生活の実現と、地域経済の発展への貢献を目指して活動しています。
また中小企業へのセミナーの実施や、青少年に対する人材育成を通じて日本の技術の底上げと、次世代の担い手の発掘にも力を入れています。
今回は、未来の医療「再生医療」に関して、KISTECの研究プロジェクトの一つである、再生毛髪に関する研究室を訪れ、福田淳二先生・影山達斗先生の指導のもと、横浜国立大学の学生と共に毛根の細胞を観察しました。
自分の髪の毛を普段とは違う視点で見た中学生たちは大興奮で、時間を忘れて楽しみました。
神奈川県&KISTECの想い
ーキングスカイフロントOPEN DAYで中学生に何を伝えたいですか?
中学生には顕微鏡を使って、肉眼では見れない髪の毛の細部を観察してもらいました。
普段何気なく見ているものも、見方を変えれば新しい発見があることを知ってもらい、少しでも科学の分野に進みたいと思ってくれたら嬉しいです。
実際に顕微鏡で髪の毛を見た時の学生はすごく盛り上がっていました。この驚きや興味を普段の勉強にも活かして学んで欲しいですね。
ー今後の川崎市をどのように盛り上げていきたいですか?
毛根の再生医療を通じて老若男女問わず、悩みを持つ人の手助けがしたいです。髪の毛に関する悩みを抱える人は多いですが、新たな治療法を生み出すことで少しでも多くの人が見た目に自信を持てることに貢献できれば嬉しいです。
それが川崎にあるキングスカイフロントで誕生したんだと市民の方々にも浸透すれば、この施設に興味を持ってくれる人も増えると思います。
水素バス「SORA」に乗ってキングスカイフロント周辺を一周
企業見学が終わってからは、水素バスの「SORA」に試乗しました。このバスは水素をエネルギーとして走るため、排気ガスが出ず環境に優しいバスです。
キングスカイフロント、多摩川スカイブリッジ、藤田医科大学先端医療研究センターの順で、約15分かけてキングスカイフロント周辺施設を走行しました。
水素バスは音がほとんど出ず、揺れも少ないため快適な乗車を楽しめます。
キングスカイフロントOPEN DAYの最後の締めくくりとして、貴重な体験をした学生たちからは笑顔が絶えない様子でした!
参加者の声
今回のイベントに参加された学生たちの声を紹介します。
終始積極的に参加していた並木千学くん
ー今回の川崎イベントで印象に残っているところはありますか?
神奈川保健福祉大学の実験が印象に残っています。ガムの噛み方や水の飲み方を変えるだけで、効率が全然違ってくるのにびっくりしました。
最初から最後まで驚くことばかりで、とてもいい経験ができたと感じています!
ーイベントに参加した感想を教えてください。
いろんな実験や研究の説明を聞いてスゲーって思いました。少し難しい説明もありましたが、実際に実験したり研究室を見て回れたりしたので印象に残る場面が多かったです!
学校が休みの日でしたが、気になっていたイベントに来れてとても楽しかったです!
団体でコースをまわった中学生グループ
ー今日の感想を教えてください。
「知らない世界が見れて楽しかったです!普段は見られないような場所を見学できたので、とても貴重な経験ができました」
「名前をよく聞くような身近な会社の見学もありましたが、知らないことだらけでした。もっと多くの会社も見てみたいと感じました!」
「もうすぐ高校受験を控えているのですが、勉強の息抜きに今日のイベントに参加しました。興味深い話をたくさん聞けたので、もっと勉強を頑張りたいと思います!」
「将来は細胞の研究に携わりたいと思っています。今日の見学でいろんなことを知れて、もっと科学の勉強をしたいなと感じました。将来の目標がはっきりしたので、本当に参加してよかったです!」
どの学生も日本の最先端技術に触れ、興奮が冷めやまぬ表情で語ってくれました!
2024年、川崎市は市制100周年をむかえます
2024年は川崎市市制100周年イヤーです。
100周年に向けて川崎市では、さまざまなプレ記念事業がスタートしています。地域住民や企業など、川崎市に関わるすべての人が積極的に参加して早くも盛り上がりを見せています。
この日も参加した学生は目を輝かせながら、貴重な施設見学に心を踊らせていました。今後も続々と市制100周年に向けた記念イベントが開催されるので、こちらのイベントカレンダーより御確認ください。